RESULT REPORT
2022年 第6回現代芸術助成野村 由香
静かな力についての制作と展示
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野村 由香 Yuka Nomura
公式サイトhttps://www.yukanomura.net/
私は、日常のあらゆる状況が誰も気づかないようなゆっくりとした速度で変化し続けているということ、そして人間を含めた生き物がその中でどう時間を過ごすかということを、作品において凝縮し、再現しようとしています。また、そこで感じた共通するある時間感覚のようなものを捉えようとしています。
1994 岐阜県生まれ
2017 金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科彫刻専攻 卒業
2017.8~12 Royal College of Art Sculpture科 交換留学
2019 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻 修了
主な活動歴
2023 あたらしい場所(アートギャラリーミヤウチ、広島)
Kyoto Art for Tomorrow 2023 ―京都府新鋭選抜展― (京都文化博物館、京都) 2022 東九条アンサンブル (京都市地域・多文化交流ネットワークセンター、京都)
京芸 transmit program 2022 (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都)
2021 対馬アートファンタジア2020ー21 (対馬市立久田小学校内院分校、長崎)
Co-program C 生活のためのストレッチ 共同創作 リサーチ/ ワークショップ (京都芸術センター、京都)
2020 奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2020 こあ(今井蘇武橋公園/ 旧西町生活広場、奈良)
2019 京都駅ビル芸術祭 チョウカイホウセイサクシツ展 (京都駅ビル7F 東広場、京都)
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019 (六甲山カンツリーハウス、兵庫)
助成対象活動名
静かな力についての制作と展示
助成活動の成果
私は、生き物の普遍的な営みを動かす大きな力と作用と、その営みに介在するコントロール出来ない他者といった要素について、また自己や世界の認識の体系からこぼれ落ちる「力」を、作品制作を通して捉えることを目的に、立体やワークインプログレス的な手法のインスタレーションを制作してきました。2022年度は、助成を受けたことで新たな表現に多く挑戦出来ました。2022年度の主な活動は以下の3つです。
①「京芸transmit program 2022」の作品制作と展示
ギャラリー@KCUAで行われた京都市立芸大を卒業したアーティストによる展覧会に参加しました。3m×3m程の泥団子のような立体を制作し、ギャラリー内を少しずつ移動させ、移動させた痕跡とともに巨大な球体を展示しました。球体は家の近所の池と、2021年のレジデンス先の対馬で知った「せん団子」という食材をモチーフに制作しました。池、あるいはせん団子に見立てた巨大な泥の球体が持つ時間を通して、何でもない日常の時間の中に生じている微かな変化と、世界を動かすような静かで大きな力を捉えようと試みました。泥の球体と痕跡はギャラリー壁面に展示した刺繍3点と写真2点と合わせ「池のかめが顔をだして潜る」という1つのインスタレーションとして発表し、多くの来場者の方から豊かな感想を頂き、その後の展覧会に繋がる機会にもなりました。
②芸術祭「東九条アンサンブル」の企画運営と作品制作
「東九条アンサンブル」は、若手アーティストと創作や演奏をしている地域のアーティストによる小さな芸術祭です。ここでは芸術祭の企画と運営、作品制作を行いました。京都市東九条の歴史を背景に、参加アーティストそれぞれが個の多様性と共存についてフィールドワークや作品制作に取り組み、展覧会の開催を通して多様な個がそれぞれを尊重しながら共に生きる社会の可能性を探ることを目的として開催しました。東九条周辺会場で5組の若手アーティストによる作品展示と、2組の地域のアーティストによる朗読劇と演奏会を行い、さらに地域で長年続く多文化共生のお祭り「東九条マダン」と連携しワークショップを行いました。芸術祭を行う過程で有志の勉強会を繰り返し、東九条の歴史を学び、他者と生きるとはどういうことか、話し合いを重ね、参加者それぞれが共生について向き合う時間となりました。
③Kyoto Art for Tomorrow 2023 ―京都府新鋭選抜展―の作品制作と展示
美術系大学、美術館学芸員等からの推薦を受けた若手作家の中から選抜された作家40名の作品を紹介する展覧会に参加しました。@KCUAの作品でテーマとしていた近所の池を、本展示では揺れる線を繋いだ1つの立体として制作をしました。変化し続ける水面をイメージし、針金で空間にドローイングをするように立体の形を決め、そこに石膏や紙粘土を使って肉づけし、最後に新聞紙を巻きつけました。新聞の表面には池をインスピレーションとしたドローイングや刺繍を貼り付けました。1m30cm程度という普段あまり経験していないスケールの制作で、そして土などの生の素材を使用できない条件の中で、どのように有機的なイメージや曖昧な形を表現できるかという試行となりました。
対象作品展示情報
京芸transmit program 2022
公式サイトhttps://gallery.kcua.ac.jp/archives/2022/8318/
開催期間 | 2022/04/09(土)〜06/26(日) 11:00〜19:00 |
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会場 | 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 京都市中京区押油小路町238-1[地図] |
東九条アンサンブル
公式サイトhttps://sites.google.com/view/higashikujo-ensemble
開催期間 | 2022/10/28(金)〜11/06(日) 10:00~17:00 |
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会場 | ノランナラン、Taroハウス、京都市地域・多文化交流ネットワークセンター 、Books×Coffee Sol.、HAPS HOUSE 、元•陶化小学校 京都市中京区押油小路町238-1[地図] |
Kyoto Art for Tomorrow 2023
公式サイトhttps://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/kaft2023/
開催期間 | 2023/01/21(土)〜2023/02/05(日) 10:00~18:00 |
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会場 | 京都文化博物館 4階展示室 京都府京都市中京区東片町623−1[地図] |