公益財団法人 アイスタイル芸術スポーツ振興財団

RESULT REPORT

2021年 第5回現代芸術助成中野 岳

作品制作および個展での成果発表

  • プロフィール写真
  • 中野 岳 Gaku Nakano

    公式サイトwhttp://www.gakunakano.com/

    中野岳は人との出会いや、初めて訪れた土地での発見から生まれた興味を広げながら、主に他者との対話を通して映像やパフォーマンス、彫刻作品などを制作する。

    1987年愛知県生まれ。
    2011年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、2014年に同大学修士課程修了。
    その後、シュテュットガルド国立美術大学ファインアート科に入学し、2017年ディプロマ課程を修了。

    近年の個展: “Relational Dialogue”, Token Art Center, 東京(2020)
    グループ展: “Rezepte für währenddessen und danach”, Neuer Kunstverein Aschaffenburg, ドイツ(2018)。

    2017年にはポーラ美術振興財団の在外研修員としてドイツに滞在。
    参加した主なレジデンシー: Kulttuurikeskus Vanha Paukku, フィンランド(2019)、noox, メキシコ(2018)、Virendra Crafts, インド(2017)など。

助成対象活動名

「Hobby Horse」の身体器具化による、新たなスポーツや身体表現の開発

手前: オフセットディスプレイ, 2022, 映像インスタレーション, 奥: 棒馬棒, 2022, 映像インスタレーション
棒馬棒, 2022, 映像インスタレーション
Hobbyhorse in Motion, 2021, インスタレーション
《オフセットディスプレイ》のための器具の制作実験, 2021, インスタレーション
Hobbyhorse in Motion, 2021, 映像
Hobbyhorse- Marini, 2020
Hobbyhorse- Marini, 2020
A Mute Point, 2022/ The Golden Meme, 2022
A Mute Point, 2022/ The Golden Meme, 2022

助成活動の成果

■個展「棒馬棒」

私は西欧に古くからある「ホビーホース(棒馬)」という乗馬ごっこのための玩具が、“馬を演じる”ということを通じて、物事の新たな視点を与える美術作品であるかのような体験をした。そのポテンシャルと活動に興味を持った私は、実験的に様々な棒馬を制作し、それを用いた身体運動を発展させた。gallery N(名古屋)での個展では、その発展の成果物を展示した。展覧会名「棒馬棒」は、私が棒馬の“(社会)彫刻的な機能”を抽象した棒の制作を試みたことから名づけた。また、展示のオープニングでは、愛知県美術館学芸員の副田一穂さんを迎え、E.H.ゴンブリッジの著書「棒馬考」の見解を引用しながら、作品のプレゼンテーションや来場者を交えたディスカッションを行った。

このプロジェクトは、舞踏家やダンサーといった身体表現に従事する方々との共同制作によって実現された。私は彼らとオンラインでの話し合いや対面での稽古を重ね、フィードバック毎に棒馬の形や活動の改良を繰り返した。このようにいくつかの器具と活動を相互的に発展することで、身体との相関関係をもつ棒馬、ないしそれを導く特定の活動のルールを発見することができた。また、それらの審美性や社会的な意味を実証するという美術的な課題に対し、半年に亘り彼らと共同制作を続けれたことは非常に有意義であった。荒削りな形をした器具や曖昧な活動コンセプトも時間とともに洗練され、身体と思考、それを繋ぐ器具は一つに繋がり、「彫刻的な器具」として調和するようになった。そして、展覧会の来場者との交流の場では、棒馬棒の今後の展開のみならず、新たな身体運動の創作における目下のアイディアを得ることができた。

対象作品展示情報

中野 岳「棒馬棒」

公式サイトhttps://www.f-g-n.jp/exhibition/棒馬棒.html

開催期間 2022/02/19(土)〜03/06(日)
13:00 〜20:00(初日は18時から最終日は18時まで)
会場 gallery N
名古屋市千種区鏡池通3-5-1地図

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