公益財団法人 アイスタイル芸術スポーツ振興財団

RESULT REPORT

2017年 第1回現代芸術助成潘 逸舟

風景の中の身体

  • 潘 逸舟 HAN Banshu

    公式サイトhttp://hanishu.com/

    2014年 開渡美術館, 台湾「アジアン・アナーキー・アライアンス」
    2015年 ロイヤルガレッジオブアーツ, ロンドン, 英国「Whose game is it?」、アーティストインレジデンスプログラムに参加
    2015年 ボストン美術館、マサチューセッツ「In the Wake – Japanese Photographers Respond to 3/11」
    2016年 ジャパンソサエティー、NY、米国「In the Wake – Japanese Photographers Respond to 3/11」
    2016年 ジューイッシュミュージアム、NY、米国「Sights and Sounds: Highlights」
    2017年 上海MoCAパビリオンで個展「The Drifting Thinker」開催、同年Art Basel Hong Kong 2017のディスカバリーズ・セクターにて新作を発表

助成対象活動名

風景の中の身体

潘 逸舟_カモフラージュ_2

「カモフラージュ」写真にコラージュ 1200×800mm 2017 (c)Ishu Han

潘 逸舟_カモフラージュ_2

「カモフラージュ」写真にコラージュ 1200×800mm 2017 (c)Ishu Han

助成活動の成果

1、カモフラージュ
カモフラージュというシリーズは雪の存在に着目したなかで、いくつかの作品を制作しました。私が日本に来たときに雪がとても印象的で、はじめてその存在に触れました。 雪はもともとそこにあるものではなく、知らぬ間に積もっていき、気がつけばそこにある風景を覆っています。そして、また知らぬ間に消えていきます。
私にとってそれは風景を隠すような感覚でした。社会とは何か?その中に生きる個人の身体性がテーマの私にとって、映像作品ではつねに風景とその中で存在し続けようとする身体のパフォーマンスを捉えてきました。そんな中で雪という存在は、そこにある風景を隠し、身体のみがそこに現れるのがとても興味深い現象でした。

今回制作した「カモフラージュ」という映像作品は、そのことに着目したパフォーマンス作品です。そこでは雪に覆われた風景に同化しようとする身体が映し出されています。ひたすら雪が自身を覆ってくれるのを待っているというパフォーマンスで、時間の経過とともに身体は風景と同化していくことを試みます。

そして、そのパフォーマンスから発展した作品として写真作品「カモフラージュ」があります。この作品はパフォーマンスの映像とセットでインスタレーションするのがいいと考えています。写真作品「カモフラージュ」では、雪が降っている写真を撮影し、その中に教科書の余白の部分をちぎりとって空から降ってくる雪にカモフラージュさせています。この作品は、社会を目の前で見ている風景と見立てたときに、その教科書に書かれなかった余白の部分、あるいはその教科書に語られなかった物語を雪にカモフラージュするという写真作品というよりかは、コラージュ作品です。

今回のプロジェクトでは、このコンセプトの観点から他にも自身の身体の部分をかたどり、そこに余白を埋め尽くす作品や絵画作品、パフォーマンス映像なども制作しました。実際の展示では、これらの作品を組み合わせてインスタレーションにできないかと考えています。

2、Not Ocean
映像作品「Not Ocean」は陸の上で、海を想像しながら泳ぐという極めてシンプルなパフォーマンス映像です。この作品は、難民問題がニュースで多く流れていたときに、私のいる場所からどのようにその遠くで起こっている出来事を捉えることが可能なのかを試みたパフォーマンス映像です。また風景に存在する条件とは何かを問いかけた作品でもあります。はたして、風景と身体は切り離されて「そこ」に共存できるのだろうか。

3、「海に涙を捨られた涙 (仮) 」
また、今回のプロジェクトでは「海に涙を捨られた涙 (仮)」という映像作品も制作しました。はじめてドローンを使用しました。この作品は、ドローンに自身の涙を積んで、それを海に落とすという作品です。しかし、幾度かテストをしましたが、少し技術的な問題がまだ残っており、引き続き継続していきたいと思います。

受賞歴

2012年 トーキョーワンダーサイト青山 (国内クリエイター制作交流プログラム) 東京
準グランプリ(アートアワードトーキョー丸の内 2012 にて) レジデンス
2013年 新鋭賞(「在地未来」何香凝美術館、中国にて)
メルボルン大学 VCA School of Art (二国間交流事業プログラム TWS & Asialink) メルボルン、オーストラリア
2014年 ACC グランティー
準グランプリ(Tokyo Designers Week 2014 Asia Award)
2015年 Residency Unlimitted、ニューヨーク、米国
International studio & curatorial program、ニューヨーク、米国
ホームベースプロジェクトさいたま2015 さいたまトリエンナーレ 2016 プレイベント、埼玉
2017年 国際芸術センター青森 (ACAC)、青森

主な展示会(個展)

2004年 「HUMANITY」空間実験室スぺース B、青森
2005年 「INTERVAL」空間実験室スぺース A、青森
「1300000000 の星」青森県弘前市野外、青森
「Lonely Island」弘前市立百石町展示館、青森
2009年 「たとえば、兎とシャンプー」nagune、東京
2011年 「Alien」新・港村 under35、横浜
2012年 「海の形」京都芸術センター ギャラリー北、京都
2013年 「Study Country」VCA School of Art、メルボルン、オーストラリア
「ぬりえ」、gallery sibayo、京都
「牡丹のある風景・東京」グリゼット、東京
2014年 「Life Scan」Tokyo Frontline、TOLOT/heuristic SHINONOME、東京
2015年 「隣り合う記憶」international studio & curatorial program、ニューヨーク、米国
「存在を支配するもの」黄金町 Site-A ギャラリー、神奈川
2016年 「雲の下で」広島芸術センター、広島
「As far as I know」ARATANIURANO、東京
2017年 「私たちの条件」 URANO、東京
「The Drifting Thinker」MoCA パビリオン、上海、中国
「ART BASEL HONG KONG 2017」香港コンベンション&エキシビジョンセンター、湾仔、香港
2019年 「不在大地」ANOMALY、東京

主な展示会(グループ展)

2006年 「thinking about dog’s death #5」art & river bank、東京
2007年 「美の環 日中韓交流展」東京藝術大学、東京
2008年 「北東北アートネットワーク」KANDADA、東京
2009年 「No man’s Land」旧在日フランス大使館、東京
「Prize 2009」東京藝術大学上野校、東京
「さくらびアートプロジェクト」長野市立桜ヶ岡中学校、長野
2010年 「YAKINIKU アーティスト・アクション in 枝川」東京
「Local to Local」釜山、韓国
「ビデオアートミーティング in 金沢」金沢
「東京藝術大学 先端芸術表現科 卒業制作展 2010」 Bankart、横浜
2012年 「第 16 回 文化庁メディア芸術祭」国立新美術館、東京
「ギマランエス nocnoc2012」ギマランエス市内各所、ポルトガル 「10 年代の終戦」eitoeiko、東京
「アートアワードトーキョー丸の内 2012」行幸地下ギャラリー、東京
「東京藝術大学 先端芸術表現科 修了制作展 2012」Bankart、横浜
2013年 「在地未来」何香凝美術館、中国
「今此処 (トーキョーストーリー part1)」トーキョーワンダーサイト本郷、東京
2014年 「Tokyo Designers Week 2014 Asia Award」東京 「東アジアの夢」BankART1929、横浜
「トーキョー・ストーリー 2014」トーキョーワンダーサイト本郷、東京
「アートバーゼル香港 フィルムセクター」 香港アートセンター、香港
「アジアン・アナーキー・アライアンス」開渡美術館、台湾
「Ego」punto、京都
2015年 「対馬アートファンタジア」対馬市元対馬市立久田小学校内院分校、長崎
「Balance Sheets」Edouard Malingue Gallery、香港
「In the wake」ボストン美術館、マサチューセッツ、米国
「Whose game is it?」ロイヤルガレッジオブアーツ、ロンドン、英国
「identoty XI POST CONFLICT」日動コンテンポラリーアート、東京
2016年 「Unclear nuclear」URANO、東京
「Local Prospects 2」三菱地所アルティアム、福岡
「対馬アートファンタジア 2016」対馬市厳原町内各所、長崎
「In the Wake: Japanese Photographers Respond to 3/11」ジャパンソサエティ、NY / アジアソサイエティテキサスセンター、テキサス、米国
「Sights and Sounds: Highlights」ジューイッシュ・ミュージアム、 NY、米国
「Sights and Sounds: Japan」ジューイッシュ・ミュージアム、 NY、米国
2017年 「この現実のむこうに—Here and Beyond」 国際芸術センター青森 (ACAC)、 青森
「海と山のアート回廊」尾道市商店街、広島
「対馬アートファンタジア 2017」 対馬市内各所、長崎
「渋谷自在ー無限、あるいは自己の領域」 トーキョーワンダーサイト渋谷、東京
「ESCAPE from the SEA」National Visual Arts Gallery (NVAG) 、マレーシア
「BEHINDTHETERRAIN」StudioKalahan、ジョグジャカルタ、インドネシア /NhàSànCollective、 ハノイ、べトナム
2018年 「Yet not to be attained」マサチューセッツ大学アマースト校、マサチューセッツ
「交差域」金鶏湖、蘇州
「水と土の芸術祭」天寿園、新潟
「BEHIND THE TERRAIN」 小金井シャトー、東京
2019年 「アートセンターをひらく」水戸芸術館、水戸

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