公益財団法人 アイスタイル芸術スポーツ振興財団

RESULT REPORT

2019年 第3回現代芸術助成オル太

耕す家「OLTA-Agri-Cultural-House」の制作と活動

  • プロフィール写真
  • オル太

    公式サイト https://olta.jp/

    オル太は2009年に結成された、井上徹、川村和秀、斉藤隆文、長谷川義朗、メグ忍者、Jang-Chiの6名からなるアーティスト・コレクティブ。メンバー全員が多摩美術大学絵画学科油画専攻出身。人間の根源的な欲求や感覚について、自らの身体を投じたパフォーマンスを通じて問いかけ、これまで「Hybridizing Earth Discussing Multitude」(釜山ビエンナーレ、2016)、「パノラマ庭園-動的生態系にしるす」(アッセンブリッジ・ナゴヤ、名古屋、2016)、「FAKE BONES」(Lilith Performance Studio、スウェーデン、2015)、「内臓感覚―遠クテ近イ生ノ声」(金沢21世紀美術館、2013)などの展覧会に参加してきた。2011年、第14回岡本太郎現代芸術賞展で岡本太郎賞受賞。

オル太メンバー

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  • 井上徹(INOUE Toru)

    1986年、神奈川県生まれ。 2010年に多摩美術大学絵画学科卒業。2009年よりアーティストコレクティブ「オル太」として活動を始め、自身が拾う音から環境や彫刻、インスタレーションを展開する。

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  • 川村和秀(KAWAMURA Kazuhide)

    1984年、静岡県生まれ。2012年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了。現代での慣習、また古代の民話等に着目し、異なるそれらのイメージを描き並べ、本来とは別のナラティブを紡ぎだすことで、視点の変換を促そうと試みる。

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  • 斉藤隆文(SAITO Takafumi)

    1986年千葉県生まれ。2012年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程を修了。作品を装置に置き換え、自身が介入し現在に潜む狂気や歪みをあぶりだそうと試みている。

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  • 長谷川義朗(HASEGAWA Yoshiro)

    1984年、福井県生まれ。 2012年「刺身処 五右衛門」TWS本郷では福井県小浜市にある刺身処の看板を描き、その後反原発デモが行われている国会議事堂へと持ち込むパフォーマンスを行う。

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  • メグ忍者(MEGUNINJA)

    1988年生まれ、千葉県出身。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。幼少期の遊びや記憶をもとに、世界に対しての些細な反逆を試みる。他のアーティストとの共同制作や自身による企画も展開する。

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  • Jang-Chi(ちゃん ち)

    1983年生まれ、東京在住。2009年に「オル太」を結成。2010年、多摩美術大学絵画学科卒業。オル太では、ディレクションや演出を担い、集団的な想起から身体表現を展開する。2019年より東京藝術大学大学院映像研究科が主催するRAM Association フェロー。

 

助成対象活動名

現代アート作品および展覧会の制作

『耕す家』
『耕す家』
『耕す家』
『耕す家』
『耕す家』
『耕す家』

 

助成活動の成果

◼『耕す家』

農耕と芸術から活動する生を問うために、『耕す家』と題した自作の家を千葉の農村地域にある不耕作地 に建て、7月〜9月中旬までこの地で生活しながら農耕や制作を展開した。 敷地に生える背の丈ほどの雑草を刈るところから始まり、沼のようにぬかるんだ場所に家を建てるための 土台を設置し、母屋と離れの2つの構造物を建てた。母屋は大きさが幅3m×奥行3m×高さ4mあり、鉄骨と 木材、アルミ、トタンなどを組み合わせて作られた。寝室空間には3段ベットがあり、木板でできた壁面 や床面には油性の描画道具で日々ドローイングが施され、木版リトグラフの手法で家の壁を原版とした版 画を制作した。離れは便所になっており、内部は三角コーンを改造した小便器と大便器用のコンポストトイ レが2つ備え付けられ、どちらも排泄物をバクテリアが分解して処理する仕組みになっている。大便器は 秤によって吊り下げられ、便の重量を記録した。 版画の制作以外にも、周辺に生える竹を用いた日誌や、土器制作など『耕す家』での生活の記録と創作が 同時に行われる場となった。 家の隣の田んぼで稲を育て9月に収穫となり、手作業での稲刈りやハザ掛け、足踏脱穀機、唐箕などの農耕 作業を行った。農作業もまた版画などの制作の題材となり、制作を通してそこで行われる身振りや工程が 記録されていった。 稲の収穫後には、参加者を集い独自のボードゲームを用いた上演『TRANSMISSION PANG PANG 大嘗 祭』を3日間開催し、約50名の来場者を集めた。 『耕す家』の制作物や記録は2019年10月5日~12月1日に青森県立美術館で開催されたグループ展「青森 EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」で展示し、同企画展オープニングでは竹簡 日誌の読み上げ、家の施工、版画の制作などの『耕す家』で蓄積された行為をパフォーマンスとして行っ た。

◼展⽰に関連する記事:
○ (美術手帖)

展評記事掲載サイト 農耕と芸術から生を問う。オル太のプロジェクト「耕す家」のオープンハウスが千葉県で開催中

 

対象作品展示情報

青森 EARTH2019:いのち耕す場所-農業がひらくアートの未来

公式サイト http://www.aomori-museum.jp/ja/event/88/

開催期間 2019年10月5日(土)~12月1日(日)
開館時間 9:30 - 17:00 *入館は閉館の30分前まで
会場 青森県立美術館
東京都足立区柳原1-32-6[地図

 

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