RESULT REPORT
2018年 第2回現代芸術助成平川 祐樹
失われた戦前日本映画を題材にした映像作品の制作と研究
-
平川 祐樹 HIRAKAWA youki
公式サイトhttps://www.youkihirakawa.jp/
1983年 名古屋市生まれ 2008年 名古屋学芸大学大学院メディア造形研究科 修士課程修了 2011〜2012年 アカデミー・シュロスソリチュード滞在作家 2013〜2014年 ポーラ美術振興財団在外研修員 2014〜2015年 クンストラーハウス・ベタニエン滞在作家 2015〜2016年 文化庁新進芸術家海外研修員
助成対象活動名
失われた戦前日本映画を題材にした映像作品の制作と研究
助成活動の成果
「映画になるまで 君よ高らかに歌へ/2018」
世界中の失われた映画を題材としたシリーズLost Filmsの第3作。壁に投影された黒い背景に、古い日本映画のタイトルと製作年が淡々と現れては消え、タイトルを朗読する男性の声が低く会場に響きます。一見するとタイトルの羅列のように見えますが、それぞれのタイトルにゆるやかな繋がりがあり、詩的な意味が垣間見えます。それらの映画は、かつて一般公開された日本映画で、雑誌やポスターなどに記録はあるものの実際のフィルムが残っていない「失われた日本映画」です。驚くべきことに、1930年代までに上映された日本映画のうち約95%のフィルムが行方不明になっていると言われています。
「Rêve d’artiste La Magie à travers les âges(芸術家の夢 時代を越えた魔術)/2019」
世界中の失われた映画を題材としたシリーズ Lost Filmsの第5作。壁に投影された黒い背景に、古いフランス映画のタイトルと製作年が淡々と現れては消え、タイトルを朗読する女性の声が会場に響きます。本作を構成する映画タイトルの大部分はジョルジュ・メリエス監督作品です。メリエスは「出現」や「消失」を多用し、夢や幻想、魔術などを扱ったファンタジー作品を多く残してきました。一時は大きな成功を収めたメリエスでしたが、第一次世界大戦開戦を機に映画製作を継続できなくなり、次第に表舞台から姿を消していきます。戦時中、メリエスの映画フィルムの多くは陸軍に没収され、セルロイドと銀の再利用に回されました。1923年、自らのスタジオと劇場を失ったメリエスは自暴自棄になり、手元に残っていたネガフィルムに自ら火を放ちました。
「Years Later 1918-2019/2019」
戦前日本映画のフィルム残存率が低いにも関わらず、それらの映画に関連したブロマイドやスチル写真が未だ大量に現存します。それらの関連資料を入念に観察し、1918年に公開されたある映画で使用された舞台装置を再現しました。登場人物たちの立ち去った後の舞台装置。写真として今なお残る、かつて存在したはずの空間。作家は、まるで考古学者のごとく「かつて存在した空間」に入り込み、舞台装置の隅々まで綿密に観察しました。そこには様々な物語の残骸が散らばっていました。それらの断片をつなぎ合わせ、新たな物語が構築されました。
対象作品展示情報
映画になるまで君よ高らかに歌へ
公式サイトhttp://www.andogallery.co.jp/jp/gallery/exhibition/past/hirakawayouki/
開催期間 | 2018/6/12(火)~2018/7/28(土) 11:00~19:00 |
---|---|
休館日 | 月・日曜日、祝日 |
会場 | アンドーギャラリー 東京都江東区平野3-3-6 [地図] |
主な個展
2012年 | 「永遠と静寂と」スタンディング・パイン、愛知 |
---|---|
2013年 | 「Silence of Nature/Nature of Silence」アカデミー・シュロス・ソリテュード、シュトゥットガルト、ドイツ 「眠りにつくまで」美濃加茂市民ミュージアム、岐阜 |
2014年 | 「Event Horizon」スタンディング・パイン、愛知 「In Remembrance of Disappearance」MOT/ARTS、台北、台湾 |
2015年 | 「Unseen / Unscene」クンストフェライン・ヴォルフェンビュッテル、ヴォルフェンビュッテル、ドイツ 「Same Places, Different Phases—Energy, Matter, and Time」クンストクラフトヴェルク、ライプツィヒ、ドイツ 「Close Your Eyes」クンストラーハウス・ベタニエン、ベルリン、ドイツ 「Into a Horizon」ホワイト・レインボウ、ロンドン、イギリス |
2016年 | 「Secret Fire」アニマ=ムンディ、セント・アイヴス、イギリス |
2017年 | 「Shadow of Film」スタンディング・パイン、愛知 「The Better Way Back to the Soil」ダブル・スクエア・ギャラリー、台北、台湾 |
2018年 | 「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」アンドーギャラリー、東京 「Due cuori Sperduti nel buio Due occhi per non vedere」カルメ、ブレシア、イタリア 「A River Under Water」 アニマ=ムンディ、セント・アイヴス、イギリス 「映画の見る夢」ポーラ美術館、神奈川 |
2019年 | 「Reve d’artiste La Magie a travers les ages」アンドーギャラリー、東京 「Years Later 」スタンディング・パイン、愛知 |
主な展示会(グループ展)
2012年 | 「国際ヴィデオアートフェスティバル Now&After’12」モスクワ市近代美術館、モスクワ、ロシア 「光 陰—ひかり、かげ、とき—」岡崎市美術博物館、愛知 |
---|---|
2013年 | 「異邦人」国立台湾美術館、台中、台湾 「あいちトリエンナーレ2013」名古屋・岡崎、愛知 |
2014年 | 「日常の反射」トータルミュージアム、ソウル、韓国 「札幌国際芸術祭2014」札幌、北海道 |
2016年 | 「ポーラ ミュージアム アネックス展2016—映像と動勢—」ポーラミュージアムアネックス、東京 「KAAT突然ミュージアム2016」神奈川芸術劇場、神奈川 「KAUNAS MENE:カウナス現代芸術祭」カウナス、リトアニア 「19th DOMANI・明日展」国立新美術館、東京 「非空間」 アクバンク・アート、イスタンブール、トルコ |
2017年 | 「台北デジタル・アート・フェスティバル」台北、台湾 | 2019年 | 「ロッテルダム国際映画祭2019」ロッテルダム、オランダ 「第65回オーバーハウゼン国際短編映画祭」オーバーハウゼン、ドイツ |