公益財団法人 アイスタイル芸術文化振興財団

RESULT REPORT

2025年 第9回現代芸術助成小宮 太郎

小宮太郎個展「半透明なポートレイト ー幽霊の足(を描く)、嘘の花(を見つめる)」展のための制作助成

  • 小宮 太郎 Taro Komiya

    公式サイト https://www.komiyatarou.com/

    1985年神奈川県川崎市生まれ。滋賀県大津市在住。2016年 京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(博士)修了。滋賀県の共同スタジオ「山中suplex」メンバー。人間の” みること” の能動性をテーマに、絵画や写真作品をはじめ、高速回転して残像を見せるオブジェやマスキングテープを使ったトロンプ・ルイユのインスタレーション作品など様々なメディアを用いて作品制作を行う。近年では「みる/みえない」を人が意識的に切り替えることで、認知できる領域が変わること、またそれによって変化する事象について興味をもち制作している。

    <小宮太郎氏 プロフィール>
    1985年 神奈川県生まれ
    2016年 京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(博士)修了
    2021年 小宮太郎 & 菅雄嗣二人展 「Mind Sights」(MAHO KUBOTA GALLERY/東京)
         Soft Territory かかわりのあわい(滋賀県立美術館/滋賀)
         血の塩/Salt of the Blood(LEESAYA/東京)
         余の光/Light of My World(ALTERNATIVE KYOTO in 福知山|旧銀鈴ビル/京都)
    2022年 今村遼佑 & 小宮太郎二人展 「五劫のすりきれ」(京都文化博物館/京都)
    2023年 VOCA2023(上野の森美術館/東京)
         小宮太郎 & 彦坂敏昭二人展 「地面カルチャー」(VOU/京都)
    2024年 sanwacompany Art Award / Art in the House 2024
                (サンワカンパニーショールーム/東京)*グランプリ受賞
         メンガーのスポンジ(名古屋芸術大学/愛知)
         個展「Virtual」(MAHO KUBOTA GALLERY/東京)
         Kyoto Art for Tomorrow 2025 ―京都府新鋭選抜展―(京都文化博物館/京都)
    2025年 Up_03(MtK Contemporary Art/京都)
         個展「肖像のフレーミングのための開帳制作室」(Art Center Ongoing/東京)

助成対象活動名

小宮太郎個展「半透明なポートレイト ー幽霊の足(を描く)、嘘の花(を見つめる)」展のための制作助成

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

助成活動の成果

2025年度アイスタイル芸術スポーツ振興財団の助成を受け、「Kyoto Art for Tomorrow 2026 京都府新鋭選抜展」の期間中プログラムとして、京都文化博物館 別館ホールにて小宮太郎個展「半透明なポートレイト ー幽霊の足(を描く)、嘘の花(を見つめる)」を開催した。初期企画名は『幽霊を探して:Looking for the ghost」(仮)』。企画初期段階からのテーマとして、祖母の記憶とともに京都文化博物館(旧日本銀行京都支店)の現在と過去の時間を重ね合わせるような表現を模索していた。

いくつかあるアイデアの中から、透明なガラス板を大量に使い空間を上下に鏡像反転させるということ、そのガラスの上と下にオブジェを配置することで、実像とともに常に空間が反転した虚像が重なり合うことなどを設計することで、鑑賞者の能動的な視点によってガラスの内側(下部)と外側(上部)とを意識的に切り替えを誘発させるような空間表現となった。

当初プランではこの中に光学的な視覚装置を配する予定だったが、空間と展覧会に依拠した条件「空間から移動できないピアノ」「監視員」「立ち入れないキャットウォーク」などを隠さずに、装置として作品内に取り込むことで、これまでオブジェクトと人の関係のみで成立させていた構造から、空間の中でオブジェクトに紐づいた物語が、演劇的な要素として立ち上がるきっかけとなった。またごく個人のナラティブとしての「祖母の話」は、京都、大正生まれの女性、戦前と戦中と戦後を生きた人を普遍化して考えるきっかけともなり、祖母の歴史を通して、見えなさ、辿れなさ、そして「あえて伝えようとしなかった」という意思のあり方が、表現者として考えて制作できたことが意義深かった。

歴史の辿れなさ/不可視性とも言えるそれは、作家(僕)の想像力によって補填されながら、成立するものではあったが、提示の仕方次第では表現が扱う対象に対して、非対称な暴力性を孕むものであるということを自覚もした。それを克服するための手段を模索した結果として、祖母が情報を残さなかったという能動的な意思を「幽霊の足」というキーワードに落とし込んで展示構成の中に入れ込んだことや「嘘の幽霊」というパフォーマー(キャラクター)を入れ込み作品化したことで作家なりの答えを提示することができた。

鑑賞者の感想としても概ね好意的だったこと、人によって感動を伝えてくれたことも励みになったが、何回も訪れてくれるリピーターがいたことは個人的に面白い結果であった。用意していたハンドアウトを通して、まるでミステリー小説の読み解くように違う切り口で毎回楽しんでいるということを伝えてくれた。僕がこれまで取り組んできた「作品の見方」の設定を超えて、ある種のアトラクションとして複数回見て違う見え方を得ようとするというのは大きな発見だった。今後も展覧会の構築の仕方としてはそのような見方も含めて設定してみることを考えてみたいと思う。

対象作品展示情報

「小宮太郎個展「半透明なポートレイト ー幽霊の足(を描く)、嘘の花(を見つめる)」展」

展示会サイトhttps://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/20260110-0125/

開催期間 2026年1月10日(土)~1月25日(日)
会場 京都文化博物館 別館

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