公益財団法人 アイスタイル芸術文化振興財団

RESULT REPORT

2025年 第9回現代芸術助成金 サジ

25年度の参加展覧会に出展する現代アート作品の創作活動

  • 金サジ Kim Saji

    公式サイト http://kimsajik.com

    自身のコリアンディアスポラの身体的、精神的アイデンティティの「揺らぎ」をきっかけとして活動をはじめる。創作物語を演出写真の技法を用いて作品を制作。写真家として活動しながら、活動の一環として、韓国舞踊家、金一志の下に師事。韓国伝統芸能を学びながら、ディアスポラに代々継承されていく歴史・民族精神のトラウマから生まれる新たな可能性を探っている。株式会社赤々舎から写真集「物語」を2022年に出版。2016年度キヤノン写真新世紀グランプリ、令和3年度京都府文化賞奨励賞、令和5年度京都市芸術新人賞受賞。

助成対象活動名

25年度の参加展覧会に出展する現代アート作品の創作活動

 
 
 
 
 
 

助成活動の成果

Study:大阪関西国際芸術祭 2025(4月13日〜10月13日)と7月にトーキョーアーツアンドスペースレジデンス2025 成果発表展「リンガ・フランカ」展([第2期]2025年7月5日(土) – 2025年8月10日(日)会場:TOKAS本郷)に出展する作品制作活動を行いました。
ここには、初公開となる映像作品「AMA-swimming with a virus-」をインスタレーションを組んで出展しました。本映像は世界における感染症の歴史が制作コンセプトの中に重要な意味をおいています。感染症の歴史が、人類史における差別や断絶を生み出してきた一つの原因であるため、今回のような大阪万博の機会に合わせて本作品が出品することができたことは、大きな意味があると考えています。追加で写真作品も制作し、出展しました。
そして「リンガ・フランカ」展では、新たに制作を始めたシリーズ「バリコンジュ(捨て姫物語)」の第一作目を制作・展示しました。こちらは韓国のルーツを持ちながら韓国語を話すことができない作家自身のディアスポラ特有の葛藤を、韓国のシャーマニズムの要素を入れ込んで表現した作品です。韓国の死者を送る巫俗儀式の中で歌われる古い巫歌の中から一部を引用し、ドラッグクィーンのリップシンクの技法を用いながら、ディアスポラの持つトラウマを喜劇的に演出し、表現しました。本作品はドラッグ・クィーンのフランソワ・アルデンテの協力のもと、衣装やヘッドピースを作成しました。作中で使っている音楽は、韓国の国立民族博物館の協力のもと、古い録音アーカイブを元に、音楽家の山中透さんにアレンジを依頼しました。
どちらの展覧会もたくさんの来場者が訪れました。どちらも作品を鑑賞した方からの反応がよく、写真以外の方法を用いた新しい表現方法を自分の中で試みることができ、本当に良い経験となりました。次に作る作品のイメージも見えて、とても良い結果になったと考えています。
「バリコンジュ(捨て姫物語)」シリーズが今回、とてもよい手応えを感じたとともに、次の作品制作への可能性を感じました。第一作目として生成AIを用いましたが、この技術を用いることで、作家自身が新しい技術を獲得したこと、最新の技術を実際に使うことにより、自分の感性をもう一度客観的に捉え直す機会を得ることができました。また、本作品の制作にあたり、韓国の国立民族博物館の学芸員たちとも良い交流ができたと考えています。また、この作品を制作していく中でのリサーチや、人々との交流を行うことで、バリコンジュシリーズの全体像の構想が具体的になってきました。また、「リンガ・フランカ」展では、パフォーマンスも行いました。この体験は、今後目標としている制作方法のための大きな気づきを得ることができました。これまで行ってきた伝統芸能による身体表現がようやく自分の制作に結びつき始めたような体験をしました。今後、この方向もどのように作品に落とし込んでいくかを試していきたいと考えています。

対象作品展示情報

「Study:大阪関西国際芸術祭 2025、トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2025 成果発表展「リンガ・フランカ」展」

展示会サイトhttps://osaka-kansai.art/ 
https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2025/20250517-7413.html

開催期間 2025年4月13日〜10月13日 2025年7月5日〜 2025年8月10日
会場 船場エクセルビル、TOKAS本郷

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