RESULT REPORT
2019年 第3回現代芸術助成北條 知子
オノ・ヨーコのアーカイブを用いたサウンド・インスタレーション作品の制作・発表
-
-
北條 知子 Tomoko Hojo
公式サイト https://tomokohojo.net/
北條知子は実験的な音/音楽の領域で活動する学際的なアーティストである。
2015年 東京藝術大学大学院 音楽研究科 芸術環境創造分野主席で修了。 2016年 ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション MAサウンド・アーツ主席で修了。 2017年 1950年-1970年に発表された音楽家による音を用いた展示作品に焦点を当てた日本のサウ ンド・アート前史についての論文が、毛利嘉孝編「アフターミュージッキング」として、東京藝術大学出版会から発売。現在はソロでの活動のほか、スイス出身のサウンド・アーティスト、ラヘル・クラフトとともに共同プ ロジェクトをおこなっている。これは地域のコミュニティへのインタビューを通して、個々人の私的で隠された音と場所との関係を明らか にするものである。また、ジョン・ケージが提唱した記譜とシアターの問いをめぐるグループ「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」の企画者・出演者としても活動している。 2017 〜
2018年ポーラ美術振興財団の在外研修員であり、ロンドン芸術大学 ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションにあるサウンド・ アート研究所CRiSAPの客員研究員としてイギリスに滞在していた。
助成対象活動名
現代アート作品および展覧会の制作
助成活動の成果
◼個展「声をひそめて(Sotto Voce)」
トーキョーアーツアンドスペース本郷で、個展「声をひそめて(Sotto Voce)」を開催した。これは、オノ・ヨーコが1962年に草月アートセンターでおこなった展示「Instruction Painting」において記録されなかったもの、そして日本においてオノにむけられてきた様々な言説を再考する、という趣旨の企画であった。建物3階にある2つの部屋と廊下部分を使用した。今回は作家にとってはじめてとなる東京での個展であった。会期開始約2ヶ月前に病気が判明し、一時期は本当にできるのは不安になる時もあったが、体力的・時間的制約があることで、今できることやることが第一の目標になった。それによって、自分が何を見せたいかをより熟考するようになり、結果的に良い効果を生んだように思う。今回は上記のように体力的な制限によってパフォーマンスはおこなわなかったが、パフォーマンスなしでも、展示のみで成立しえたことは一つの自信となった。また、音を直接的には用いない平面・立体作品へと展開できたことも一つの挑戦であった。今回の企画は、2018年にロンドンで行ったものと対になるもので、今回東京で実現できたことで、来年以降ニューヨークでおこなう調査の重要な足がかりとなる。企画の継続性という点においても、意義のあるものになったと自負している。来場者からの反応も常々好評だった。オノ・ヨーコ自体は知っていても、1960年代、70年代に日本において壮絶なバッシングを受けた人だということを知らない人も多く、オノという著名な存在を通じて、沈黙させられてきた女性の声を聞く、という意図は達成されていたと考えられる。また、聴診器を用いることで新鮮デインタクティブな聴取体験が可能になったことも来場者の声から実感させられた。
対象作品展示情報
TOKAS-Emerging 2019
公式サイト https://www.tokyoartsandspace.jp/creator/index/H/1392.html
開催期間 | 2019年8月31日(土)- 9月29日(日) |
---|---|
開館時間 | 11:00-19:00 |
会場 | トーキョーアーツアンドスペース本郷 東京都文京区本郷2丁目4−16[地図] |
主催 | トーキョーアーツアンドスペース (公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館) |